岡崎五朗のクルマでいきたい vol.68 参戦する理由

vol.68 参戦する理由

アヘッド 岡崎五朗のクルマでいきたい

ホンダF1復帰の後押しになったといわれているのが2.4ℓV8から1.6ℓV6直噴ターボへのレギュレーション変更だ。ダウンサイジング直噴ターボはまさに旬の技術。加えて、ERS(エネルギー回生装置)もハイブリッドの一種と言える。

つまり、F1という世界最高峰の舞台で戦うことにより、市販車にも応用できる技術に磨きをかける。さらに言えば、F1参戦によってブランドイメージは向上し、販売増も期待できる、というシナリオである。

間違ってはいない。しかし、本田宗一郎が「レースは走る実験室である」と語った時代とは違い、現代のF1用エンジンは高度に専門化されているため、市販車用エンジンへフィードバックできる度合いはかつてほど大きくはないのも現実だ。

事実、F1に参加していないメーカーにだっていくらでもいいエンジンはあるし、ブランドイメージにしても、スポーツカーメーカーのフェラーリならまだしも、ルノーやメルセデスがF1で勝ったが故に売れに売れたなんて話は聞いたことがない。冷静に考えれば、F1の費用対効果には大いに疑問符が付くのだ。

ならばなぜ巨費を投じてわざわざF1に参加するのか?そこが重要なポイントだ。ホンダはF1をやりたい。純粋に。だから参戦するのだ。技術のフィードバックやらブランドイメージの向上やら販売増やらは「F1なんて道楽に人とカネを使うのはけしからん」と考えている社内抵抗勢力や、株価や配当のことしか考えていない投資家を説得するためのもっともらしい方便のようなものである。

誤解がないようにいっておくと、だからF1に参戦するなんて意味がないと言ってるわけじゃない。むしろ逆で、世界最高峰の場で戦いたいという強い強い想いの発露は、自動車メーカーにとって宝のようなものだと思う。マクラーレン・ホンダの活躍もさることながら、今年登場する予定のS660、NSX、シビックタイプRという3台のホンダ製スポーツカーにも大いに期待している。

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