石の上にもスーパーGT

アヘッド スーパーGT

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日本国内で最も人気のあるレースがスーパーGTだ、ということをご存知だろうか。

text:ahead編集長・若林葉子 [aheadアーカイブス vol.149 2015年4月号]
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石の上にもスーパーGT

石の上にもスーパーGT

例えば'13年の全9戦あたりの平均観客動員数は5万6,800人。'14年第2戦の富士スピードウェイでは2日間合計で8万9,400人に達し、2013年のF1日本GP、8万6,000人を抜いたのだからすごい。日本では人気がないと言われているモータースポーツだが、なかなかどうして、スーパーGTに関してはそんなことはないのである。

私もここ数年ですっかりスーパーGTのファンになった一人。しかし、スーパーGTが面白い、 と分かるまでにはそれなりに長い時間が必要だった。最初は、溢れかえる観客と耳をつんざくようなエンジン音に驚きながらも、「いったい何が面白いの?」と冷ややかだった。
きっかけは編集長を通して平手晃平選手と知り合いになったこと。レースくらいは見てないと悪いかしら、くらいの気持ちで毎戦ビデオに録画するようになった。それでも最初はただ流すだけ。食事の支度をしながらチラチラ見る。ソファに座って他のことをしながらチラホラ見る。

と、大変不真面目だったのだが、それでも気になるシーンはあるもので、そういうシーンだけ巻き戻して見ることも増えていった。すると今度は分からないことや疑問点も次々と出てきて、それを編集長に解説してもらうようになり、次第にレースそのものが面白くなるところまでたどり着いた。
このレースの最大の特徴はGT500とGT300の異なるレギュレーションの車両が混走すること。500のドライバーはいかに300の車両をうまく交わすか。また1レースあたりの走行距離が長いため、いかにタイヤを持たせるか。要はドライバーはただ速いだけではダメで、そこがまたレースを面白くしている。

サーキットのあちこちでテール・トゥ・ノーズのような接戦が見られるので、観客は退屈する暇もない。 編集長曰く「野球のようにピッチャーとバッターのじっくりした駆け引きがありながら、サッカーのようなスピード感もある」という。300と500が絡むことにより、どこのコーナーで仕掛ければより効果的か、何周目までタイヤを保てば後半勝負に出られるかなどの頭脳戦を300キロ近いスピードの中で繰り広げている。

スーパーGTを通じて、日本にこんなにも優秀なドライバーがひしめいていることを初めて知った。今シーズン、元F1ドライバーのコバライネンが出場することが話題を集めているが、海外の一流ドライバーにとってもスーパーGTは魅力的なレースなのである。

つくづく思うが、何事も「面白く」なるためにはある程度の我慢が必要なのだ。できればまずは1年間シーズンを通して見て欲しい。必ずハマる。騙されたと思って、今年はぜひスーパーGTに注目して欲しい。
▶︎DENSO KOBELCO SARDから参戦する元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン。相棒は2013年GT500チャンピオンの平手晃平選手。

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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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