首都高生誕50年 vol.4 メンテナンスと、“高齢化”への取り組み

vol.4 メンテナンスと、“高齢化”への取り組み

アヘッド vol.4 メンテナンスと、 “高齢化”への取り組み

▶︎首都高はいくつもの構造物が組み合わさって構成されている。生誕50年を迎える今、長期使用に耐えるメンテナンスに日々、取り組んでいる。


もちろん、首都高は、数十年は十分に使える強度と耐久性を前提に設計、建設されている。舗装やジョイントの状態を含め、走っていて不安を感じることは一切ない。

しかし、大型トラックの通行量増加等の過酷な使用により、補修が必要となる箇所が次第に増えてきているのも事実だ。そんな状況に対し、一部のマスメディアは「老朽化」という表現を使っている。

しかし、首都高は老朽化という言葉は使わず「高齢化」と呼んでいる。老朽化と高齢化。何が違うのか? 人間にたとえればわかりやすいだろう。歳をとっても元気なお年寄りはたくさんいる。

それと同じように、健康管理にさえ気を遣っていれば、年数が経っても道路の健康状態を保つことは可能ということだ。事実、首都高は相当な資金と手間をかけ道路のメンテナンスを実施している。

補修が必要な箇所を特定するために毎日パトロールカーで路面状態を確認。加えて5年に1回は目視や超音波による検査等を実施し問題ヵ所の補修を実施している。老朽化ではなく、高齢化という言葉を使っている理由はここにある。念入りな検査(点検)と治療(補修)を実施することにより、首都高はいまでもピンピンしているのだ。

事実、40年以上が経過した路線でも、道路の不良による大事故は起きていない。安心、安全、快適を目指す首都高の機能は、いささかも失われていないということだ。

アヘッド vol.4 メンテナンスと、 “高齢化”への取り組み

▶︎鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装工事の様子。SFRC=スチールファイバーレインフォースドコンクリートは、直径0.6mm、長さ30mmの鋼線を混ぜ込んだコンクリートで、薄くても変形に強い。これにより、鋼床版の疲労寿命が大幅に改善される。


では、具体的にはどんなメインテナンスが行われているのだろうか。

ひとつは、SFRC(スチール・ファイバー・レインフォースド・コンクリート)舗装の採用だ。表面のアスファルト舗装の下層にスチールファイバーを混ぜ込んだ強度の高いコンクリート舗装を施すことで、鋼床版の耐久性を高めるのが狙い。

もうひとつが炭素繊維シートの貼り込み。レーシングカー等にも使われる高強度炭素繊維シートをコンクリート製床版に張り込むことによって、耐久性を高めることが可能となる。

その他、金属部の亀裂に補強板を取り付けたり、脆くなったコンクリート部を補修したりするなど、様々な補修工事を行うことによって、首都高は「元気なお年寄り」であり続けているのだ。

しかしその一方で、要補修ヵ所の数が、古い路線ほど多いのも事実。建設後10~19年の路線での損傷発見数(2002年~2010年)がおよそ1万件であるのに対し、40年以上が経過した路線ではおよそ7万件と、7倍にも達する。

それでも、現在のメインテナンス体制を維持していれば近未来に通行に支障を来すような問題が発生することはないだろう。

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▶︎鋼構造物の溶接部を超音波探傷試験によってチェック。構造物の点検は目視以外だけでなく、「見えない箇所」にも及ぶ。


しかし100年先を念頭に置くと、作り替えたほうがコスト的に安くつく可能性も大いにある。この件に関しては、有識者による「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」が設置され、技術的、経済的な観点から活発な議論が交わされている。

年内にはとりまとめが行われる予定だが、交通量の多い路線を通行止めにして工事を実施するというのは現実的には難しいのではないか。

たとえば湾岸線というバックアップがある横羽線であれば作り替えも考えられるが、代替路線がない路線では定期的なメインテナンスによるリフレッシュを実施するのが現実的なソリューションだろう。たとえ1路線であっても、首都高の機能停止は一般道の激しい渋滞など、社会に大きな影響を与えることになるからだ。

首都圏の自動車交通はもはや首都高抜きでは成り立たない。それほどまでに、首都高は快適なカーライフになくてはならない存在なのだ。

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▶︎格子状に炭素繊維シートを貼り込んだRC床版。構造物の長期的使用を実現するため、耐久性向上対策の一環として推進されている。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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