フランス車を考える

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簡単に説明すると、人生を6段階のステージに分けて、それぞれのシーンにあった車種がデザインされ、開発される。これを表したのが「ライフ・フラワー」である。

男女が恋に落ちて(LOVE)、二人で世界を旅する(EXPLORE)。そして家族ができ(FAMILY)、働いて(WORK)、余暇を楽しみ(PLAY)、思慮深さを得る(WISDOM)。日本でも既に、LOVEにあたるルーテシア、EXPLOREにあたるキャプチャーが発売されている。

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僕は、世界中を見渡してもこんな考え方でクルマをつくるメーカーは他にはないだろうと、とても興味を持った。「こんな考え方で生まれて来るクルマがあるなんて面白いな」 そう感じた僕は、ルノージャポン マーケティング部の佐藤 渉さんを訪ねた。

そもそも何故このような考え方が生まれたのだろうか。

「特別に新しいことを思いついたわけではありません。人がたくさん乗れる、荷物がたくさん積める、どんな道でも快適に走ることができる。そんな昔から続くルノーの人間中心の理念(ヒューマン・セントリック)を、世界中の人に分かりやすく発信したものなんです」

確かに、第二次世界大戦後、ルノーは国営企業として再出発し、〝国民のため〟に、人の生活に密着したクルマを造り続けてきた。ではなぜ、これまでこのようなデザイン戦略や表現方法が用いられて来なかったのだろうか。

「ヴァン・デン・アッカー以前に、パトリック・ルケモンというフランス人デザイナーがいました。彼のデザインは先進的でしたが、あくまでもフランスの中で成立するフランス像でした。しかし、このグローバルな時代の中を闘っていくには、世界に目を向けなければいけません。彼はオランダ人ですから、今までのフランス人が考えるフランス像ではなく第三者から見たフランスをうまく表現することができているんだと思います」

パトリック・ルケモンはフランス人である故できなかったが、オランダ人であるヴァン・デン・アッカーは、世界の人々が思い描く「フランスらしさ」をよりいきいきと、鮮明に表現することができた、ということだろうか。

一方では、〝人間中心〟の理念を貫きながら、一方で新しいことにチャレンジしているルノーだが、では、他のヨーロッパの国々や日本のクルマ造りとはどのような違いがあるのか新たな疑問がわいた。

「たとえばドイツの車は静粛性や性能など車本体に価値をおきます。日本はエコ思想が強く環境配慮に重点を置いていますが、ルノーはやはり、どこまでも〝人が中心〟なのです」

その差はカングーのような商用車であっても感じることができると佐藤さんは言う。

「多くの場合、日本の商用車は恐らく、シートにお金を掛けることは少ないでしょう。でもカングーは、シートにこそお金をかけます。そのシートに座っている時間が長いからです。また、長い時間過ごすのだから、その空間はちゃんとデザインされていなければならない、と考えます。だから、商用車には一見、必要ないと思われるデザイン的な〝遊び心〟が表現されているのです」

幼い頃、家にオレンジ色の二代目ルーテシア(クリオⅡ)があった。親はいろいろなクルマを乗り継いできたが、その中でもこのクルマは不思議と記憶に残っている。それが何故か分からなかったが、今はじめてその理由が分かった気がする。

人とクルマ。この2つの心が通いあうようなクルマを造りあげるヒントがフランス車にはこめられていると感じるし、僕たちが最も学ぶべき感覚なのかもしれない。なにしろ僕はそんな人間味あふれるフランス車が大好きなのだ。

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