首都高生誕50年 vol.3 原点に戻る 〜首都高環状線渋滞緩和への取り組み

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▶︎1993年8月。都心環状線渋滞緩和を目的として工事を進めていたレインボーブリッジが完成。東京の新名所にもなった。


そのなかの1コーナーに、GT-Rと公共交通機関の競争があったのだが、これがなかなか面白かった。石川県をスタートし千葉へと向かう途中、GT-Rのドライバーは「地獄のような東京の渋滞を抜けなければいけないのだから勝てるわけがない」とボヤく。ところが、いざ首都高に入ると渋滞はまったくなく、驚きの表情を見せながらも歓声を上げるドライバー。勝負はGT-Rの勝利に終わった。

こうしたストーリーを見ても分かるように、外国人が東京に対して抱くイメージのひとつに「酷い交通渋滞」がある。いや、外国人だけではなく、東京以外の地域に住んでいる人や、東京に住んではいるが普段クルマに乗らない人も、きっと同じように思っているのではないだろうか。

しかし図らずも外国の番組で証明されたように、現在の首都高には、かつてのような酷い渋滞はほとんど見られない。渋滞度を示すデータは手元にないが、ほぼ毎日クルマに乗る僕の感覚としては、最悪だったバブル期の「半分以下」である。

渋滞減少を「クルマ離れの影響」と言う人もいるが、それが見当外れな分析であることはデータが証明している。もっとも渋滞が深刻だった1980年代バブル期の通行台数は1日あたり75万台。それに対し現在は100万台と、逆に25万台も増えているのだから。

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では、増えた25万台をさばきつつ、その上であれほど深刻だった首都高環状線の渋滞を劇的に減らすことができた秘密はどこにあるのだろう?

この疑問を解く鍵となるのが「ネットワーク整備」という言葉だ。首都高の場合、道路のキャパシティを超えるクルマが入ってくることにより起こる「交通集中による渋滞」が、渋滞原因の85%を占める。渋滞のボトルネックとなるのはほとんどが各放射線から都心環状線に流入する場所。8本もの放射線から次々とクルマが入ってくるのだから、さばききれなくなるのは当然だろう。

ここで注目したいのは、都心環状線を通行する車両の6割は、都心環状線沿いの出入口を利用することなく、そのまま別の高速道路へと進んでいく点だ。例えば常磐道から来たクルマが、そのまま都心環状線を抜けて東名高速道路へ向かう、というふうに。

都心部の一般道の渋滞緩和だけでなく、首都高には日本各地の高速道路をつなぐ役割も課せられている。それが生みだすのがこの「通過車両」であり、通過車両を上手に迂回させることができれば、都心環状線を先頭にした渋滞の大部分を回避できることになる。

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▶︎千葉県と神奈川県を、都心を経由せず直接結ぶ、首都高速湾岸線が開通(全線開通は2001年)。2010年3月には中央環状線(3号渋谷線〜4号新宿線)山手トンネルが開通。これによって東名・中央道⇔東北道・常磐道が都心部を通過せず結ばれ、首都高全体の渋滞が2割減ったと言われている。中央環状線全線開通にも期待が高まる。


国が「圏央道」「外環道」「中央環状線」の三環状整備に取り組んでいる理由はそこにある。2015年度には外環道の一部を除き三環状が開通する予定だが、このうち首都高が管轄するのが、都心環状線の外側、三環状のうちもっとも都心寄りを通る中央環状線。今後、大橋ジャンクション〜大井ジャンクション間の工事完了によって、待望の全線開通となる予定だ。

湾岸線やレインボーブリッジの整備に加え、中央環状線の部分開通は都心環状線の通過車両を減少させ、渋滞低減に大きな効果を発揮した。さらに中央環状線が全線開通すれば、首都高の快適性はさらに向上するだろう。

こうしたネットワーク整備に加え、ボトルネック箇所の改良、車線の増加、渋滞情報提供の高度化、標識の改善、工事の深夜実施、事故多発地点の安全対策など、首都高はさまざまな渋滞対策を実施し、より快適な走行環境実現に日夜取り組んでいる。その結果生まれたのが、1日100万台を見事にさばく、世界にも例のない都市高速なのである。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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