日常を犠牲にしないルノースポール

アヘッド 日常を犠牲にしないルノースポール

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8分7秒97。昨年の6月17日、タイムアタックの聖地として世界的に名高い、ドイツの「ニュルブルクリンク」において、「メガーヌRS(ルノースポール)トロフィー」が記録したタイムである。

text:神尾成 photo:長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.117 2012年8月号]
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日常を犠牲にしないルノースポール

日常を犠牲にしないルノースポール

この数字は、FF(フロントエンジン、フロントドライブ)の市販車としては、最速記録になった。もっともそれ以前のFFの最速記録は、同じルノースポールの「メガーヌR26.R」の8分16秒90だったのだから、メガーヌが自身で記録を塗り替えたことになる。

'08年に発表された「メガーヌR26.R」は、カーボンボンネットやカーボンフルバケットシートを標準で装備し、リアシートを取り払い、リアとサイドのウインドーをポリカーボネイトにした言わば〝サーキットスペシャル〟だった。その割り切りのよさゆえに、保安基準の関係から日本には正規輸入されず生産が終了してしまう。

しかし一昨年、メガーヌのフルモデルチェンジにともない、ガラス窓で5座席の新型「メガーヌRS」が登場、日本にも正規輸入が開始された。サーキット仕様の「R26.R」を超えるスペックを持つこのメガーヌに、記録更新の期待が集まった。

そして、みごとに約9秒もタイムを短縮した新型「メガーヌRS」は、FFスポーツの威力を世界にアピールし、日本でもルノースポールユーザーを増殖させていったのだ。
そしてこの夏、その「メガーヌRS」がマイナーチェンジした。注目すべきは、最高出力が15馬力、最大トルクも20 Nm高められ、ニュルブルクリンクの記録を叩き出した「トロフィー」と同仕様のスペックが与えられたという点だ。

しかしそれよりも、日本仕様が右ハンドルになったことが見逃せない。ETCの普及や右折専用信号の増加などにより、左ハンドルの不便さは以前に比べて減ったように思えるが、高速道路の合流や駐車場の発券機などで気を煩わされることがあるのも事実。
慣れの問題とはいえ、日本で使用するクルマは、右ハンドルの方が便利なのは確かだ。ただ、左ハンドル車を右ハンドルに変更した場合、オフセットと呼ばれるアンバランスさが懸念される。

だが、この「メガーヌRS」に関しては、サーキット走行で重要になる「ヒール&トゥ」を意識したペダル位置を設定するなど、ルノースポールが専用にリチューニングしているだけに手は抜かれていない。

ルノースポールモデル全般の美点として、ハイパフォーマンスなスポーツカーでありながら、「座席の数だけ大人が窮屈さを感じずに乗れること」、「常識的な量の荷物が積めること」、「日本車と同等以上に耐久性があること」などが挙げられる。

この日常の使い勝手を犠牲にしないという美点に、右ハンドルになった「メガーヌRS」は、更なる磨きをかけてきた。

▶︎新型メガーヌRSの試乗会はルノースポールらしくサーキットで開催。熟成の域に達した2ℓツインスクロールターボの高性能や、「シャシーカップ」と呼ばれるサーキットでも音を上げない足回り、 ブレンボモノブロックキャリパーのコントロール性を実感。従来型とは異なるフロントの6 連LEDランプが新型の特長。 最高速度は、250km/h以上になる。 

MEGANE R.S.(メガーヌ ルノー・スポール)
車体本体価格:¥3,850,000
排気量:1,998cc
最高出力:195kW(265ps)/5,500pm
最大トルク:360Nm(36.7kgm)/3,000rpm
問い合わせ:ルノー・コール 0120(676)365

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text:神尾 成/Sei Kamio 
1964年生まれ。神戸市出身。新聞社のプレスライダー、大型バイク用品店の開発、アフターバイクパーツの企画開発、カスタムバイクのセットアップ等に携わり、2010年3月号から2017年1月号に渡りahead編集長を務めた。現在もプランナーとしてaheadに関わっている。
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