鈴木大五郎のライトウェイトシングル論

アヘッド 鈴木大五郎のライトウェイトシングル論

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バイク乗りに、どんなエンジンが好きですか? と聞いてみるとしよう。速いエンジン。鼓動感のあるエンジン…様々な答えがあるとは思う。

text:鈴木大五郎 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.116 2012年7月号]
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鈴木大五郎のライトウェイトシングル論

鈴木大五郎のライトウェイトシングル論

では、どんなエンジン型式が好きか? と今度は聞いてみる。直四。Vツイン。2ストロークの並列2気等…いや。シングルと答える人も少なくないはずだ。しかし、その人たちによくよく聞いてみれば、シングルはシングルでも、排気量は500㏄オーバーの、いわゆるビッグシングルだったりして、ライトウェイトシングル(LWS)という声は聞こえてこない。

とはいえ、人気が無いと決め付けるのは早合点。意外や日常的に愛用しているマシンに搭載されるエンジンは、小排気量のシングルだったりすることが多い。それでは、なぜに愛用しているのかと問えば、扱い易いから、燃費がいいから、安かったからと、なかなかこちらが「それ、いただきました!」と言いたくなる模範解答は出てこなかったりする。一番身近なはずなのに…。

そこに、「短時間でも充実感を得られるのがLWSの魅力なんじゃない」と、編集長。確かに。ビッグバイクだと駐輪場から出す億劫さだとか、タイヤの暖まりとかが気になってしまい、短い時間だと楽しむ前に終わってしまう。

味わい尽くすには、それなりの時間。装備。覚悟なんて大それたものが必要になってしまう。その点、LWSなら走り出した瞬間からなんだか自由な気分になれる。気楽で気軽で本当に軽い。パワーがない分、しっかり開けられるスポーツ性があるのだ。

プロライダーとしての僕からは、こんな提案もある。実にシンプルでオーソドックスなレイアウト。これがモーターサイクルの動きの基本を知るには、もってこいの教材だったりする。ツインもマルチもビッグシングルも、エンジンの搭載位置による難しさやエンジン特性の癖が顔を出しがちで、ちょっと特殊な乗り物となることも少なくない。

それが個性にもなり、面白さにつながっているのは事実だけれど、ライディングの基本を抑えるならシンプルなLWSが断然お勧めだ。気負いなく乗れるから出動機会も多くなる。ちょっとした変更や改造でマシンの印象が大きく変わるのも面白い。

「でかいバイクを振り回してやってるぜ〜 ワイルドだろ〜」って箔はつかないかもしれない。でも、そんなプライドは本当に必要なのか? 当たり前のような存在で忘れそうになるけれど、もう一度見つめなおして欲しい。そんな夫婦関係のような関わりかたによって、あなたのバイク生活がもっとハッピーになるかもしれない。

DUCATI 250 DESMO
ドゥカティの象徴ともいえるデスモドロミック機構は、'60年代にライトウエイトシングルから採用され始めた。また、高回転でカムの追従性に優れるベベルギア駆動を装備するなどレースを意識した設計。写真の車両は、ドゥカティの往年の名車と同じ「シルバーショットガン」と呼ばれる塗装を施している。
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