ひこうき雲を追いかけて vol.41 クルマが人を選ぶ

アヘッド ロゴ

※この記事には広告が含まれます

約3年半にわたって続けてきたこのコラム。今回をもって、しばらくお休みさせていただくことになった。
 
これまでaheadを通して、たくさんの人やクルマとの出会いがあったけれど、今の素直な感想は、人がクルマを選んでいるようで、実はクルマが人を選んでいるのではないかということだ。

text:若林葉子 [aheadアーカイブス vol.112 2012年3月号]
Chapter
vol.41 クルマが人を選ぶ

vol.41 クルマが人を選ぶ

初めて自分で買ったルノー、ルーテシアは、仕事にドライブにと、ぶんぶん乗り回していたのに、片道5kmのわずかな距離しか乗らなくなった頃、後輩の村上にもらわれていった。

今、村上は、物理的にも精神的にもルーテシアの存在に支えられて毎日を送っている。ぶんぶんエンジンを回してくれる持ち主のところに、ルーテシアは行ってしまったのだ。

2台目のスイフトスポーツは気合いを入れて買ったわりには10ヵ月で手放すことになった。

私から見れば、何となく合わなかったということなのだけれど、MTのスイフトスポーツは、私を持ち主として認めなかったのだと思う。
 
昔、社長の近藤が乗っていたヴィッツのRS。ヴィッツレースで活躍したほかは、あまり大事にしてもらえず、aheadの読者の方が引き継いでくださった。その方からは、後日、「元気にレースをやっています」とうれしそうなお手紙をいただいた。ヴィッツもさぞ幸せなことだろう。
 
クラッシックカーは「人を選ぶ」の典型で、オーナーはそのクルマを後世に残すために、一時的に“預かって”いるだけ。そういう精神でクルマを所有しているのだと聞く。ただクルマが好き、お金があるというだけではダメなのだ。
 
ラリーの世界で言うと、クルマはしょっちゅう壊れるわけだが、ベテランに言わせると「クルマは壊れるんじゃない。壊すんだ」そうだ。乗る側がどれだけクルマを大事にし、メンテナンスの苦労をいとわず、丁寧に乗るか。それができなければクルマは繰り返し壊れる。
 
どんなクルマに乗るにも“資格”がいるということなのだ。
 
何年か後、またコラムを再開することがあったとして、そのとき私はいったいどんなクルマに選ばれているだろうか。
-----------------------------------------------
text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。


【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細