ぶつからない世界は美しい

アヘッド ぶつからない!? ミニカー

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信号待ちで停車中、クシャミした勢いでアクセルを踏んでしまい、あわや追突と肝を冷やした経験のある残念ドライバーとしては、《ぶつからないクルマ》の登場は衝撃だった。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.136 2014年3月号]
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ぶつからない世界は美しい

ぶつからない世界は美しい

これはスバルの運転支援システム「アイサイト」の機能の1つで、簡単に言えば、人間と同じ2つの眼(カメラ)で前方の状況を立体的に認識し、コンピュータ制御で追突や衝突をできるだけ避けるようサポートしてくれるというもの。

さて本題はアイサイトの解説ではなくて。アイサイトとは何なのかをPRするために作られた映像だ。

主役は《ぶつからないミニカー》。センサーを搭載し、進行方向に障害物があると一時停止するというミニカーで、ディーラーや各種イベントで目にしたり、現物を手に入れた人もいるだろう。

映像は3作発表されており、子ガモの行列のように街をゆくミニカーと人々とのふれあいが微笑ましい「The walk of minicar」篇、音を発するたくさんのミニカーが、やがて1つの音楽を奏で始める「minicar music player」篇、森を抜け、光の街へと向かうミニカーたちの流れるライトが幻想的な「minicar light stream」篇がある。

どれもわずか1、2分のものだが、見応えは充分以上だ。
それぞれ単品で見てもアイデアにあふれた秀逸な映像作品だが、3つを通してみると、アイサイトが目指すものが見えてくる。最初が歩行者への安全性、つまり人との関係、第2作がクルマ社会の調和、そして3作目が光あふれる未来だ。

僕たちはコックピットに座ると、フロントグラスに映る世界をついそのままの主観視点で、自分の立場だけから見てしまいがちだ。だがこの映像は、足下を走る小さなミニカーをたくさん登場させることで、俯瞰する目を与えてくれる。

クルマは自由な乗り物だけど、道にいるのは自分だけじゃない。そんな「当たり前」を、自分がクルマ社会を、そして世界を構成する小さな点でもあることを改めて気づかせてくれる。

そう考えると、登場するのがミニカーというのも意図的なものかと思えてくる。アイサイトが目指す地平は遙か遠く、今はまだちっぽけなミニカーに過ぎないけど、という謙遜と理想が浮かび上がるようだ。

コンピュータによるドライブ制御、いわゆるバイ・ワイヤ技術は日々進歩を遂げている。でも、技術だけではだめなのだ。そこにはどんなクルマ社会、どんな未来を見たいのかというビジョンが要る。

どれほど高い技術があっても事故をゼロにはできないかもしれない。でもこの3本の映像は、それでも「ぶつからない世界」へ向かうんだ、という強い意思を形にして見せてくれるのだ。
▶︎動画を見るには、動画サイト「SUBARU On Tube」で「ぶつからない!? ミニカー動画」をお探しください。

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