復活したチョロQ“ゼロ”

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子供のころ、フタが閉まりきらないほど詰め込んだおもちゃ箱をひっくり返しては、ミニカーで遊んだ。そのミニカーの中にはプルバック式ゼンマイで走るチョロQもいたはず。

text:若林葉子 photo : 長谷川徹 [aheadアーカイブス vol.111 2012年2月号]
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復活したチョロQ“ゼロ”

復活したチョロQ“ゼロ”

チョロQが、玩具メーカーのタカラから発売されたのは1979年。プラスチック製の、ちょっと寸詰まりっぽくデフォルメされたかわいらしい外見と、その外見からは想像できない猛烈なダッシュ力が人気を博す。子供がお小遣いで買いやすい価格であったことも人気を後押しした。
 
その後も勢いは衰えず、それどころか2000年代に入ると多くの特注品が発売されるほどにむしろ人気は高まった。ご当地チョロQは有名だが、そのほかにも教習所を卒業したらもらえるバージョンや、神社とのタイアップバージョンなど内容も実にさまざま。特注品がスタンダードチョロQを凌駕するほどに盛り上がった。
 
しかし、気が付くと、本来のファンがついていけなくなっていた。その頃、発売元のタカラがトミーと合併するという事情なども重なり、実はチョロQは2009年に28年間続いたスタンダードチョロQシリーズの生産を終了したのだ。
 
ここに紹介するチョロQゼロは、ホビーメーカーであるトミーテックが“大人向け”のチョロQとして2011年9月に新たに発売したものである。
 
「僕も大のクルマ好き。いろんな経緯があったとはいえチョロQはタカラトミーグループの財産です。何とかこれをもう一度やりたい、そう思ったんです」、と話してくれたのは企画部の小林新吾さん。

もう一人のクルマ好き、同じ部の圓道 智さんとともに、企画書をまとめて関係各所にプレゼンし、役員を説得した。チョロQゼロのゼロ(9の後にくる数字)には、「原点に戻る。しかしただ復刻するのではなく、進化させたい」という思いを込めた。
 
ターゲットは'80年代にチョロQで遊んでいた現在の大人たち。
 
車体全体の寸法、ホイールベースの長さ、ウィリーすること、10円玉を背負ったまままっすぐ走れる距離などなど初期チョロQで実施されていた『チョロQ車検』という基準をそのまま採用。ゼンマイ部分も当時と同じだ。
 
進化させたのはボディの作り込み。デフォルメされてはいるけれど実車らしさを失わず、再現できるところはなるべく細かく再現する。少し前はボディは一体型で窓だけマスキングしていたが、窓とボディは別部品とした。パーツ点数や工程は増えるわけだが、ここはやはりホビーメーカーゆえのこだわり。大人の目にも耐えられるクオリティを追求している。

「できるだけ再現性を高めたいと思いつつ、やりすぎるとチョロQの“らしさ”が失われますし、実際に手に取って遊んでいただくことも大切な要素です。そのバランスの見極めが難しいところですね」。
 
実際、これまでのチョロQと比べると、かわいい中にも作り込みの良さが感じられる。おもちゃ箱の中から飛び出して、かつての思い出とともにコレクションケースの中に置きたくなるチョロQゼロである。
第一弾として発売されたのは’80年代に全盛を誇った車種。HONDAシティR(赤・黄)、日産キャラバン(緑・黄)、TOYOTAソアラGT(茶・白)各¥1,029/トミカスカイラインシルエット¥1,470

*現在、タカラトミーから発売されているチョロQハイブリッドは生誕30周年を記念して、2009年に新たに展開されたもの。
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text:若林葉子/Yoko Wakabayashi
1971年大阪生まれ。Car&Motorcycle誌編集長。
OL、フリーランスライター・エディターを経て、2005年よりahead編集部に在籍。2017年1月より現職。2009年からモンゴルラリーに参戦、ナビとして4度、ドライバーとして2度出場し全て完走。2015年のダカールラリーではHINO TEAM SUGAWARA1号車のナビゲーターも務めた。
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