日本製を選択したルノー・スポール

アヘッド ルノー・スポール

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フランス、パリ南西部の町「レ・ジュリス」に現在は本拠地を構える技術屋集団が「ルノー・スポール」だ。
ルーテシアやトゥインゴ、メガーヌなどのスポーツモデルの末尾には、「RS」の名が付く。これは、お手軽なメーカーチューンを表したのではなく、ルノー・スポール製のクルマであることを証明している。そもそもルノーの本体とは別会社なのだ。


text:伊丹孝裕 [aheadアーカイブス vol.114 2012年5月号]
ルノー・スポールで作られるクルマやパーツは機能美に溢れ、時にその場所は、アトリエと評されるほど。RSモデルもその作品のひとつだ。ルノー本社とは異なるテストを経て、エンジンやサスペンション、時にミッションやシャシーまでもが専用に開発される。

そこには、スポーツカーを創っているという価値観が貫かれており、ルノー・スポールがフォーミュラカーの生産台数世界一であるというプライドが感じられる。

そのルノー・スポールと日本との意外な関係を物語るエピソードがある。それがRSモデルのために、日本の藤壺技研と共同開発して世界で販売されているチタンマフラーだ。

フランスのクルマに日本製のアフターパーツが用意されること自体が異例なのだが、その関係を強固なものにしたルノー・スポールが'08年に発表された。それが「メガーヌR26.R」というスペシャルモデルだ。

これは、ルノー・スポールが手掛けた限定モデルで、'09年にタイムアタックの聖地、ドイツのニュルブルクリンクでFF車のコースレコードをマークする。その車両に装着されていたのが、日本の藤壺製マフラーだった。

当時4000ユーロという高価なオプションパーツだったにも関わらず、「メガーヌR26.R」を購入した半数以上のユーザーが、この日本製のチタンマフラーを装着した。

性能はもとより、サウンドやデザイン面でもルノー・スポールを納得させ、アフターパーツには決して寛容ではないフランスの厳格な認証基準をもクリアすることができたのは、藤壺製以外になかったのである。

実は、この両メーカーを結びつけたのが「ルノー・ジャポン」だ。日本の単なるインポーターという立場に留まらず、どうすれば、ルノーやルノー・スポールがもっと魅力的になるのかを考え、常に積極的にフランスへ提案し続けている。

藤壺製のマフラーも、そのひとつにすぎなかったのだ。より良いカーライフをユーザーに発信して行くためには、メーカー内での立場や国境を越えて協力し合うのは当然のこと。しかしそれは容易なことではないはず。

ルノー・ジャポンのように、自分たちが販売しているブランドに誇りと愛情を持ち、そして何よりもその想いを行動に移す情熱が必要なのである。
ルノー・スポールが藤壷技研と共同で開発したチタンマフラーは、トゥインゴRS、ルーテシアRSの他、新型のメガーヌRS(写真はモナコGP)用も販売される。価格は235,200円。
ルノースポールは、フォーミュラ・ルノーなどヨーロッパのレースに深く関わっている。そのクルマ造りの思想を色濃く反映したのがこの「メガーヌR26.R」(生産終了)。
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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
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