首都高生誕50年 vol.2 首都圏のネットワークから、日本のネットワークへ

vol.2 首都圏のネットワークから、日本のネットワークへ

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▶︎1985年、首都高が常磐線とつながった6号三郷線開通式の様子。首都高が次々と各高速道路と接続し、日本各地へのネットワークが整備されて行った。


僕もこれまで、このルートを何度となく利用してきた。箱根方面で開催されることが多い新型車の試乗会に参加したあと、都内で打ち合わせをするようなときは、必然的にこのルートを使うことになるからだ。

もちろん、東京インターで下りて一般道を使うという選択肢もある。けれど、歩行者や自転車や対向車や交差点や信号機のない首都高速を走るほうがはるかにリスクとストレスが少ないため、多少の渋滞があったとしても、あるいは通行料金がかかっても、僕はなるべく首都高速を使うことにしている。それとは逆に、都心を経由して東北自動車道や常磐自動車道といった別の高速道路に向かうクルマも少なくない。

たとえば大阪から仙台に荷物を運ぶトラックは、好むと好まざるとに関わらず都心を通過することになる。そしてトラックドライバーたちもまた、混雑した都内の一般道よりは、走りやすい首都高速を選ぶケースが多いのだ。しかし、首都高速がこうした用途に完全対応したのは'80年代後半に入ってからのことだ。

もとはといえば首都圏を走る一般道路の渋滞を緩和することを目的に建設が進められた首都高速。だが、全国の高速道路網整備が進むにつれ、各高速道路をつなぐ機能も求められるようになった。それはまさに、首都圏の道路ネットワークから日本のネットワークへの転換を意味する。その先駆けとなったのが東名高速道路と接続する3号線だ。

東名高速道路が開通した'68年には渋谷までしか開通していなかったが、3年後の'71年には渋谷インター~用賀インターが開通し、首都高速と東名高速道路が接続。続いて'76年には中央自動車道と4号線、'82年には東関東自動車道と湾岸線、'85年には常磐自動車道と6号線、そして'87年には待望の東北自動車道との接続が実現した。

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こうして歴史を振り返ってみると、全国へと伸びる各高速道路を有機的に結ぶ首都高速のネットワークは、長い時間をかけ徐々に整備されてきたことがわかる。

いまでこそノンストップで高速道路から高速道路へと乗り継げるのが当たり前になっているが、思い起こせば、僕が運転免許をとった'84年当時は、一般道路を走らなければ常磐自動車道にも東北自動車道にもアクセスできなかった。

そういう意味で、関越道を除く主要な各高速道路と首都高速との接続が完了した'87年は、首都高速にとっても、また日本の高速道路網にとっても、大きな意味をもつ年だったと言っていいだろう。しかし、役割の拡大は別の問題も引き起こした。'87年といえば日本がバブル経済に向かって突き進んでいたちょうどその時期。

空前の好景気によって人とモノの移動が増えたところに、各高速道路から流れ込む通過交通が加わった結果、首都高速を走るドライバーは慢性的な渋滞に悩まされていた。その頃、都内から神奈川県に引っ越した僕が味わっていたのも、果てしなく続く渋滞。用賀料金所から都心環状線の谷町ジャンクションまでは15km弱。

スムースに走れれば15分ほどで到着する距離だが、よくて45分、普通で60分、最悪のときは90分以上かかっていた。まさに一寸刻みの渋滞という表現が相応しい様子から、首都高速が「有料駐車場」と揶揄されたのもこの時期である。いま思い起こしても、あの渋滞は本当に酷かった。

ちなみに当時の首都高速の1日平均利用台数はおよそ75万台。現在の100万台/日と比べると25万台も少ない。にもかかわらず、現在の首都高速はバブル期とは比べものにならないほど渋滞が減り、とても走りやすい道路になった。用賀料金所から谷町ジャンクションまで、文字通りノンストップで15分しかかからないケースも多い。

「東京の渋滞は酷いと聞いたいたけれど、これなら自分の国よりいいぐらいだ」という感想を何人もの外国人から聞いたことがあるほどだ。交通量が増えたのになぜ渋滞が減ったのか?次回は、渋滞低減に向けた首都高速の様々な取り組みを紹介していこう。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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