H2Rが公道で400km/h達成 ~Ninja H2R

アヘッド Ninja H2R

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「気持ち良さそうに走ってるなぁ」このチャレンジの動画を見て、最初にそう思った。蛇行することもなく、ウォブルも発生してないし、上下動すらほとんどしていない。初めて量産車で300㎞/hを超える挑戦をした頃は、そんな事象との戦いだった。しかし今、ライダーは自分の身体の周りに纏わりつく空気を受け流すだけでいい。絶対に気持ちいいに決まってる。

text:宮崎敬一郎 [aheadアーカイブス vol.165 2016年8月号]
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H2Rが公道で400km/h達成 ~Ninja H2R

H2Rが公道で400km/h達成 ~Ninja H2R

※「h2r 400km」で検索すると動画が観られます。

詳細についてはよく知らないが、トルコのイズミット橋という新しい橋を借り切ってのトライだったようだ。ただひとつ、気になるのはメーター表示の400㎞/hで大喜びしていること。

速度計というものは本来、高速域で10%ほど甘めに表示されるのがふつうだ。GPS計測連動表示にでもしているのだろうか? まぁいい。そんなことより、こんなに気持ちよく、どこまでも速度を上昇させて走り続けるということはそうできることではない。

公式に最高速度記録を残すために、まず、必要なものは「場所」だ。26年も前の話だが、当時発売されて間もないZZR1100で300㎞/h超えに挑戦した。

しかし日本には、そこまでの速度を想定した場所が無く、何とかJARI(日本自動車試験場)の谷田部外周路で記録に挑戦する許可を得た。設定速度を100㎞/h近くも超えての公式記録計測だったので「何があっても自己責任で」といった一筆を提出しなければならなかった。

場所が確保できたとしても、やはり問題になるのはそのバイクが携えている技術的完成度だ。動力性能だけではなく、いかに安定してロス無く走れるかが重要だった。ちょっと振られるだけで2~3㎞/h、空気の流れを乱すと7~8㎞/hもロスしてしまう。

26年前にバイクで300㎞/hを出すという事は、そんな振られや、蛇行、空気の乱れとの戦いだったのだ。最も高速性能の良いと言われたZZR1100でそんな状態だったのだが、'96年に登場したCBR1100XXは違った。

最高速度はわずかに伸びた程度だったが、びっくりするほど安定していた。誰が乗ってもすぐに300㎞/hに手が届いた。しかし'99年のGSX1300Rハヤブサは300㎞/h近辺でコーナリングができた。そして310㎞/h以上の最高速度をそれまでのどんなバイクより平和に記録した。でも400㎞/hは違うはずだ。

H2改の270馬力仕様に乗った事がある。H2Rにかなり近いパワースペックだが、全開加速をするとトラコンにウイリーコントロールなど、あらゆるライディングアシスト機構群が盛大に応答しつつ、猛烈な勢いで速度を乗せた。

そして、こんなにホイールベースの短いバイクなのに暴れず、どこまでも速度が乗った。現時点で最強パワーの量産車はその制御を上手にやってのける。だから動画を見て「気持ち良さそう」と思えたのだ。

●KAWASAKI Ninja H2R(2016年モデル)
車両本体価格:¥5,724,000(税込)
*付属品としてタイヤウォーマー・レーシングスタンドを含む
エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC 4バルブ
排気量:998㎥
車両重量:216㎏
最高出力:228kW(310PS)/14,000rpm 
*ラムエア加圧時は
240kW(326PS)/14,000rpm
最大トルク:165Nm(16.8kgm)/12,500rpm

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