オンナにとってクルマとは Vol.60 目指すはセダンのリアシート

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料理が運ばれてきたら、誰よりもはやく自然に小皿に手が伸びて、みんなに取り分けてあげられる女性になりたかった。食事中にはひとりひとりの飲み物やお皿のすすみ具合に気を配って、テーブルの会話を妨げることなく追加注文してあげられる。そういう女性を見ると、なんていいオンナなんだろうと憧れていたものだ。

text : まるも亜希子 [aheadアーカイブス vol.154 2015年9月号]
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Vol.60 目指すはセダンのリアシート

Vol.60 目指すはセダンのリアシート

ところが最近、それとは対極にあるいいオンナの存在に気がついてしまった。料理が運ばれてきても、その女性は微動だにしない。わぁ美味しそうなどと言って微笑んでいるばかり。

すると同席していた男性が小皿をつかみ、女性に取り分けてあげている。女性が嬉しそうにお礼を言うと、男性もまんざらでない表情だ。彼女は今、まちがいなく男性を気分よくさせている。何にもせずただ微笑んでいるだけで、満足させている。

そうか、これこそが本当のいいオンナなんだと、私の世界はコロリと変わった。

そういう視点で見てみると、クルマもちょっと印象が変わる。これまで、女性をいちばん美しく見せてくれるのはクーペだと信じてきた。くびれのあるボディラインで見た目には手を抜かず、包まれるような室内空間が適度に自分を甘やかし、研ぎすまされた走行性能は心に潤いをくれる。そんなクーペを颯爽と乗りこなす女性は、いいオンナの美と成功の象徴だった。

ところがそれも、上質なセダンのリアシートでくつろいでいる女性のオーラにはかなわないと気がついた。普段は自分で運転していても、たまには誰かにステアリングを預けて、流れる景色とともに自由で優雅な時間に浸る。

ひとりで頑張るばかりじゃなくて、自分のことを思いやって大切にしてくれる人がいるのが、本当のいいオンナだ。セダンからは、その存在が伝わってくるのだった。

メルセデス・ベンツCLSがトレンドを創ったと言われている、クーペのようなボディラインの4ドアセダンが、今年はジャガーXEやVWパサートなど立て続けにデビューしている。ひと昔前のオヤジセダンとはちがう、女性が運転しても似合うセダンたちだ。

素敵なセダンはいいオンナをつくる。今では、セダンのリアシートに乗せてもらえるような女性が私の目標になった。

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まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
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