鋳造ホイールが大活躍?ラリードライバー新井敏弘選手にマッドドック三好がインタビュー。ラリーでの重要性とは?

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ご存知のようにWRCは、砂利道から河原のような岩が転がっている悪路、そして舗装路から雪道までありとあらゆる路面コンディションのなかを想像を絶するスピードで駆け抜けます。
そのWRCにおいて、タイヤやサスペンションについては、いろいろなエピソードを聞くことがあるものの、ホイールに関してはあまり情報がありません。まるで「沈黙のパーツ」です。とはいえ、タイヤとサスペンションを繋ぐ重要なパートを担っているパーツでもあるのです。
そこで、数多くのWRC(世界ラリー選手権)に出場し、プロダクションカーの世界チャンピオンにもなった新井敏弘選手に、過酷な条件化におけるホイールへのこだわりを伺ってみました。
Chapter
実は鋳造ホイールが主役?
市販品とまったく一緒? ローレット加工とは
ちゃんとしてて当たり前。良くても褒められない、それがホイールの役割
新井敏弘選手愛機 SUBARU WRX ギャラリー

実は鋳造ホイールが主役?

三好:ワークのホイールはいつから使ってる?

新井:長いですよ。インプレッサのグループNマシンになってからはずっと。最初は鍛造だったんですが、途中からFIAの規則で鍛造が禁止になって、そこから鋳造です。
三好:鍛造が禁止になった理由は?

新井:ヨーロッパのメーカーができないんで、日本のメーカーだけできることって、みんなダメにされちゃう。スキーのジャンプなんかと一緒でね。

三好:良すぎて、妬まれたってわけね。

新井:とはいえ、鋳造でもすごく強いので、グラベルでも困らないです。
三好:ホイールの強さにもいろいろあって、その限度が難しいよね?

新井:そう、硬くて丈夫なのは、走行中にパチンと割れちゃったりするんで、グラベル用なら、ある程度柔らかくて曲がってくれたほうがいい。

市販品とまったく一緒? ローレット加工とは

三好:大きな入力があっても割れずに、適度に力を逃がしてくれるところがあるんだ?

新井:強いところも必要だけど、リムの部分だけはトンって衝撃を受けた時に少し逃げてもらうような感じで。

三好:曲がらないほど強いとサスペンションが壊れたりするだろうし…。

新井:逃げがないと、かえってパンクもしやすくなりますしね。

三好:でもパンクしてそのまま走らないといけないシチュエーションもあるでしょ。リム落ちは?(タイヤがホイールから外れること)

新井:それも対策してもらってたんで、ギリギリまでタイヤとの接触部分の径を大きくしてもらったんですよ
三好:じゃあタイヤを組むのが大変だ。

新井:そう、すごく大変。だからそのぶん、リム落ちは少なかったですよ。ローレット加工(タイヤとホイールがずれないようにする加工)など、いろんな加工をしてもらいましたね。
三好:それはスペシャル?

ワーク:市販品とまったく一緒です。新井選手が走ってテストして、それを市販していくという状態にしています。

三好:トシがテストして、要望をメーカーが対策して、またテストして、それでよければ市販ってことですか?

ワーク:そうです。

ちゃんとしてて当たり前。良くても褒められない、それがホイールの役割

三好:ホイールって、競技ではどのくらいのファクターなんだろう?

新井:良ければいいほどいいんでしょうけど、それが悪いほうに向かうと、どうしようもなくなるんですよね。パンクもしやすくなるし、壊れやすくもなるし、全部悪い方向にいってしまいます。だからベンチマークっていうか、平均点がすごく高いものを僕らは求めます。
ちゃんとしてて当たり前。良くても褒められることがないのに、悪いと怒られる。作るほうは、ホントに大変だと思います。
ホイールはマシンが好成績を収めても、ドライバーインタビューでタイヤのように賞賛されることは皆無。
しかし、性能は常に高いレベルを求められます。
そういったドライバーの要求に対して、着実な仕事で黙々と答えてきたワークのホイールは、新井選手の数々の栄冠を支えてきた、まさに縁の下の力持ち的存在だったのです。

新井敏弘選手愛機 SUBARU WRX ギャラリー

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